こんにちは、脳筋トレーニーのえびしゅ~まいです。
今、ただひたすらに、夏ボディ作りにいそしんでいるのですが、今週で筋量アップ期間が終了し、来週から減量期間を開始しようと考えている今日この頃です。
さて、減量といえば、敵は誰でしょうか?
そう!脂肪です!
孫子大先生が言いました。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず!!!」(くわぁ!!)
というわけで、グーグル大先生のお力を借りたり、図書館に行ってそれ系の本を漁ったりしていたところ、
凄いディープな脂肪の本を見つけました。
それがこちら!!

ミシェル・フィリポフ「脂肪の歴史」(2016.10)
減量のための知識が欲しい方については、本書はそっと本棚に返すことをオススメします!
5章+巻末で構成されていまして、各章は、
1章:宗教や伝統と脂肪の関係について紹介(神様まで出てきます。)
2章:脂肪(油)の様々な使われ方を紹介(人類は脂肪にはお世話になっていた!)
3章:「脂肪=悪」の歴史(真の悪者は人間か!?)
4章:脂肪代替品の歴史を紹介(脂肪代替品の歴史がわかります)
5章:脂肪と大衆文化と美術とTV(いろんなところで脂肪はネタにされてます)
巻末:脂肪を使ったレシピ集!
というような感じです。
健康のための知識が欲しい方は3章と4章を読むといいと思います。
その先は、、、、、、ノーコメントで!
では、一部をざっくり紹介します!
オススメの書評はこちら
「いつまでもデブと思うなよ」→https://tokudy.com/book-review4/
「一生太らない体のつくり方」→https://tokudy.com/book-review5-slowtraining/
「脳を鍛えるには運動しかない!」→https://tokudy.com/book-review6-brain-training/
かつて、脂肪は権力や富の象徴だった
神様たちは油が大好き
旧約聖書では、脂肪は最高神ヤハウェの好物であり、ユダヤ教徒はケレブ(腎臓のまわりの脂肪)はお供えに使うから食べちゃダメ。
ヒンドゥー教の創造神ぷラジャーパティが、両手をゴシゴシこすり合わせてバターを作り、それを火に流し込んだら子孫ができた。
ネパールのシェルパ族は安全祈願のために、神様にバターを山盛りお供えする。
チベットでは仏像にバターを塗りつける!
人間も昔っから脂肪が好き!特に金持ちの大好物!
メソポタミアの王家では、宴ものの時には太った牛・羊・鹿・鳩etcをバンバンふるまった。
古代ローマでは、アヒルの舌とか豚の丸焼きとかとにかく脂肪分の多い料理を並べて、皇帝の富と権力を自慢した。
キリスト教では、贖罪(罪滅ぼし)の意味で贅沢な食事(=脂肪)の摂取を控える期間があり、金持ちはバターを食べるために特免状を教会から買った。
フランク王国では、年貢としてバターや動物の脂を庶民から巻き上げていた。
1800年くらいから、上品で繊細なフランス料理みたいなものが発展し、これ見よがしに料理を並べ立てる宴会は減った。でも、フランス料理のソースだってバター無くして成立しない。
一般人もバターの夢をみる
民間伝承(都市伝説??)にも脂肪の話は枚挙にいとまがない!
サワークリームが流れる川、肉でできた家、ベイクドチキンが歩いてきて「僕を食べて!」と申し出る、禁断のポークチョップの木が生える「食べ物の園」etc・・・
神々が好み、金持ちが欲しがり、庶民も夢に見る。
脂肪は権力と富の象徴だったようです。
脂肪は象徴以上の役割を果たしていた!
脂肪は昔から多くの役割を果たしてきました。
ある時はハイカロリー食として労働者をささえ
ある時は防腐剤として、いろんな食べ物を油漬けにし
ある時は食べ物に混ざって触感をまろやかにしたりサクサクにしたり
炒め物ではメイラード反応(美味しいコゲを作る反応)を引き起こして、最高のうまみの一種を作り出し
そして、またある時は、食べ物をカラッと揚げ、短時間で調理することを可能にした。
しかし・・・・
この脂肪の持つ「揚げる」能力によってファストフードが可能になり、世にひろまります。
しかし、これが、これまで地位と名声を欲しいままにしていた脂肪を、人生(?)のどん底に叩き落すことになろうとは、誰も知る由はなかったのです!
栄養学からの糾弾「脂肪、お前は悪魔じゃ~!」
ファストフードやスナックの発展は、脂肪による健康不安を巻き起こしました。
飽和脂肪酸悪魔説
時は1953年、ミネソタ大学にキーズ博士という研究者がいました。
キーズ博士は長年にわたり、アメリカ、日本、フィンランド等、7か国における心臓疾患と脂肪酸の研究をしてました。
「第2次世界大戦以降、アメリカ人の飽和脂肪酸の摂取量が増えたら、心臓疾患も増えたんじゃないか。
不飽和脂肪酸を多く取っている日本では心臓疾患が増えている事実はない。
これは、飽和脂肪酸が悪いに違いない!正しい食事をして長生きしよう!!」
とキーズ博士は言いました。
そして、これが1960年代のアメリカで大反響を呼び、新聞・嘆願書・演説等で「飽和脂肪酸攻撃」がなされました。
全米心臓補助協会は「アメリカを汚染しているのは誰だ?飽和脂肪酸を使っている食品加工業者だ!」とニューヨークタイムズ他、多数の新聞にて広告しました。
ケロッグやナビスコ等、食品加工業者はヤシ油、ココナッツオイル、ラードの使用をやめました。
「代替として、部分硬化植物油が安全だよ。」
医学的な権威がそういうので、みんな飽和脂肪酸から部分硬化植物油に乗り換えました。
1980年代初頭のことです。
一方、部分硬化植物油の使用により、マックのフライドポテトに含まれるトランス脂肪酸が7倍になり、マーガリンには65%ものトランス脂肪酸が含まれることになりました。
これが、のちに大変な結果をもたらすことは、知る由もなかったのです!
部分硬化植物油悪魔説
1990年、トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させ心臓疾患の発症に大きく関与する
1993年、部分硬化植物油という形でのトランス脂肪酸の摂取が心臓疾患と正の関係がある
という2つの研究結果、すなわち「部分硬化植物油は飽和脂肪酸よりヤバい」ということにアメリカが震撼した!
アメリカで心疾患で亡くなっている患者は約3万人。これがトランス脂肪酸をたくさん含むマーガリンその他のせいだと研究者が推定した。
そしたらどうなったと思いますか?
なんと、部分硬化脂肪油を後押ししていた組織たちは、てのひらを返して、部分硬化脂肪油を叩き始めたんです!
もう誰も信用できない
「健康指導の方針をコロコロ変えやがって・・・」
一般市民の政府の健康指導に対する信頼は失墜しました。
脂肪が見限られたとき、こいつが動いた
「脂肪ってヤバい」の反動で売れ出したものは何でしょう?
それは・・・
「低脂肪」「無脂肪」製品!!
安直!!
しかし、これが大変な結果をもたらすことを、知る由はなかった!!
無脂肪でデブが増えた
脂肪を減らすと、脂肪があったが故の口当たり、風味を別の方法で再現する必要が出てきました。
そのため、食品に大量の炭水化物をぶっこんだ「低脂肪」「無脂肪」食品が世間を席捲することになりました。
これを「うめぇ、うめぇ」と食べまくった現代人。
ここ50年で砂糖の消費量はなんと3倍になったのだそうです!
そして、デブになった。
皆さんご存じのように、デブは様々な健康問題を引き起こします。
炭水化物、特に砂糖が問題なら、なにが流行るか
そう!「ローカーボダイエット(低糖質ダイエット)」
またしても安直!!!
アトキンス博士のローカーボダイエット
1963年、デブで悩んでた臨床医アトキンスさんはある記事に震えます。
それは1953年に内科医ペニングトンさんの発案したダイエット法。それは、脂肪分とタンパク質を多く摂取して、炭水化物を減らす、カロリー無制限ダイエット。ローカーボダイエットの元祖です。
アトキンスさんは、これを発展させ、自分の患者を含む多くの方のダイエットを成功させました。1992年に出版された「アトキンス博士のローカーボダイエット(改訂版)」もバカ売れ。
アトキンスさんのダイエットの特徴的なところは「天然油脂をおそれない」こと。バター、クリーム、チーズ、オリーブオイルetc、天然物を取ることで、偽の油脂を遠ざけ、健康を維持できると考えた。
え?天然油には飽和脂肪酸も含まれるよね?飽和脂肪酸って悪魔なんでしょ?
この後、またしても事態が急展開することを、知る由はなかったのです!
飽和脂肪酸悪魔説は冤罪??
2001年、食物油脂と心臓疾患との関連を調査した27の研究をメタ分析したところ、
摂った脂肪の量も飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸・多価不飽和脂肪酸等の種類も、心疾患との関連性は見つからない
という結果が出ました。2012年のメタ分析でも同じ結果でした。
2014年にケンブリッジ大学でチョウドリらが行った大規模な研究では、
・トランス脂肪酸は心臓疾患リスクを16%上昇させる
・ドコサヘキサエン酸とエイコサペンタエン酸は心臓疾患リスクを低下させる
という結果が出たけど、そのほかの脂肪酸と心臓疾患との関連性は見つけられませんでした。
・・・飽和脂肪酸、濡れ衣説が浮上!?また、医学界は嘘ついたの??
「ますます一般大衆の医学界に対する不信感が高まるのでは」と心配になったハーバード大学の栄養免疫学の第一人者ウォルターは、
「不飽和脂肪酸と心臓疾患の関連性がないだなんて意見は撤回しろ!!」と抗議しました。
果たして、チョウドリらの研究結果は飽和脂肪酸の有罪をひっくり返すきっかけとなるのか?
はたまた、闇に葬り去られるのか?
その先は、いまの僕には知る由がありません!!
ところで代替品って成功してるの?
マーガリンの他にもたくさんの飽和脂肪酸の代替品が出回っていますが、それぞれの歴史も気になりませんか?
マーガリン、ショートニング、トランス脂肪酸0食品、低脂肪食品
世の中、ヤバい脂肪がいっぱいです!
現代の文化における脂肪の地位
ピノキオにおいて、あるいはヘンデルとグレーテルにおいて、脂肪は何を表現しているのか?
テレビアニメ「ザ・シンプソンズ」において脂肪は何を象徴しているのか?
美術では?テレビ番組では?
脂肪は快楽、批評、喜劇、etcを表現する媒体としても地位を獲得している!らしいです。
(第5章は、著者の妄想が突っ走っているように感じるのは、僕だけではないと思います・・・)
まとめ
3章、4章は勉強になりました。
「流行りの〇〇」とか「最新の研究が示す〇〇」というのも、鵜呑みにするといけないなと思いました。
世に出回っている「代替商品」に対する感覚も変わりました。
一方、1章、2章、5章は正直ぶっ飛んでます。
ついていけないところも多々ありました(笑)
すごくまじめな表現で書かれているのが、また、たちが悪い(笑)
巻末に著者、ミシェルさんの紹介が書かれていますが、この本の他にも
「デス・メタルと音楽評論:極限における分析」(2012)
って本も書いているようです。ぶっとんどるわ~。
その他の書評はこちら
「伝え方が9割」→https://tokudy.com/book-review1/
「発注いただきました!」→https://tokudy.com/book-review2/
「いつまでもデブと思うなよ」→https://tokudy.com/book-review4/
「一生太らない体のつくり方」→https://tokudy.com/book-review5-slowtraining/
「脳を鍛えるには運動しかない!」→https://tokudy.com/book-review6-brain-training/
最後まで読んでくれてありがとうございます。
明日も見に来てくださいね!
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